湖と峠とブドウ畑を走る:イタリアの旅
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湖と峠とブドウ畑を走る:イタリアの旅

ガルダ湖を見下ろす尾根からドロミテの峠、トスカーナの白い砂利道まで、e-MTBで巡る5つのルート

約10分で読めます · 2026年10月31日 更新

A sheer grassy ridge in the Dolomites · 写真:돈키호테 · used with permission 出典

イタリアは北をアルプスに包まれ、長靴の形をした国土をアペニン山脈が縦に貫いています。そのあいだには氷河が削った大きな湖、ブドウ畑とオリーブ畑に覆われた丘、三方を囲む海岸線があります。1〜2日移動するだけで、風景はがらりと変わります。

100年以上続く自転車レース、ジロ・デ・イタリアの国なので、山の峠や田舎道でサイクリストを見かけるのは日常の光景で、どの村にも立ち寄れるカフェがあります。長い登りを助けてくれるe-MTBなら、有名な峠にも無理なく挑め、砂利道や森の道を走る体力も残ります。

このガイドでは、代表的なガルダ湖リッジ・ループを中心に、ガルダ湖、ドロミテの峠、コモ湖、トスカーナのブドウ畑の道、リグーリアの海辺の丘の5つの地域と、それぞれの道や見どころを紹介します。

湖と峠とブドウ畑を走る:イタリアの旅
Riders climbing below jagged rock peaks · 写真:돈키호테 · used with permission 出典

トレンティーノ · リーヴァ・デル・ガルダとアルコ、標高約65mの湖

ガルダ湖リッジ・ループ

距離
約60km(獲得標高約1,100m)
日程
日帰り
路面
舗装路と古い砂利道
難易度
中級〜上級

ガルダ湖はイタリア最大の湖です。南端は広く平らな平野に開けていますが、北端は細長く、両側に崖のようにそびえる山のあいだに入り込んでいます。北端のリーヴァ・デル・ガルダとアルコはヨーロッパでも有数のマウンテンバイクの町として知られ、レンタル店や修理店、自転車を保管できるホテルが数多くあります。

代表的なルートは湖岸を離れ、西側の断崖の上へ登っていきます。19世紀に崖を削って造られたポナーレ旧道を、眼下に遠ざかる湖を眺めながら登り、高台にあるレードロ湖を一周してから湖岸へ下ります。距離のわりに登りが多く、普通の自転車ではきついルートですが、e-MTBならバッテリーを配分すれば1日で走れます。

体力に余裕のある日は、リーヴァの北にあるテンノ湖やアルコの城を加えてみてください。この地域の風は朝は北から、午後は南から吹くことが多く、そのおかげで湖はウィンドサーフィンの名所になっています。午後に湖岸を走るなら、向かい風を見込んでおきましょう。

見どころ

  • ポナーレ旧道

    崖の中腹を走る砂利道です。車は通行できず、歩行者とサイクリストだけが通り、カーブを曲がるたびに湖の北端を見渡す景色が開けます。

  • レードロ湖

    標高約650mにある山の湖です。湖岸に先史時代の杭上住居の跡が残り、ユネスコ世界遺産「アルプス山系の先史時代杭上住居跡群」の構成資産のひとつになっています。

  • アルコ城

    オリーブ畑の上の岩山の頂にある城です。ふもとの町はロッククライミングでも有名で、クライマーを眺めながら休憩するのも楽しみのひとつです。

  • テンノ湖

    森の中に隠れた小さなターコイズ色の湖です。近くにある石造りの古い村カナーレにも、少し足を延ばすとよいでしょう。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州・ヴェネト州 · 峠の標高約1,875〜2,244m

ドロミテの4つの峠

ドロミテの4つの峠
A meadow trail toward the Dolomite peaks · 写真:돈키호테 · used with permission 出典
距離
約55km(獲得標高約1,700m)
日程
日帰り
路面
舗装の峠道
難易度
上級

ドロミテは、森と草原の上にそびえる淡い色の巨大な石灰岩の山々で、2009年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。中心にはセッラ山群がそびえ、その周りをガルデーナ峠、セッラ峠、ポルドイ峠、カンポロンゴ峠の4つの峠が囲んでいます。4つすべてを越えるループは、多くのサイクリストが一度は走りたいと願うルートです。

4つの峠はいずれも標高1,800mを超え、峠と峠のあいだで道はいったん村まで下り、再び登ります。普通の自転車では丸一日かかりますが、e-MTBなら各登りでアシストを低めに抑えれば1日で走りきれます。峠のレストランや村のカフェで休憩するあいだに充電をお願いするのも効果的です。

この一帯の谷では、イタリア語、ドイツ語、そしてラディン語という古い言語が話されており、村の標識に2つか3つの名前が並んでいることがよくあります。日の出のころに峠を登ると、道がまだ静かなうちに岩峰がピンク色に染まるので、その時間に出発するサイクリストも多くいます。

見どころ

  • ポルドイ峠

    4つの峠のひとつです。頂上からロープウェイで標高約2,950mの展望台まで上ることができ、晴れた日にはドロミテ最高峰マルモラーダ(約3,343m)の氷河が見えます。

  • セッラ峠とサッソルンゴ
    写真:돈키호테 · used with permission 出典

    セッラ峠とサッソルンゴ

    峠の頂上では、サッソルンゴの巨大な岩壁が目の前にそびえます。下りの前に写真を撮るのにぴったりの場所です。

  • コルヴァーラとアルタ・バディア

    ガルデーナ峠とカンポロンゴ峠のあいだにある谷の村々で、ラディン文化が今も息づいています。昼食と休憩にちょうどよい場所です。

  • 山小屋の料理

    峠近くの山小屋(リフージョ)では、パンの団子カネーデルリ、燻製ハムのスペック、アップルシュトルーデルが味わえます。

このエリアのコース

ロンバルディア州 · ベッラージョ、標高約200〜750m

コモ湖とギザッロ

距離
1日30〜60km
日程
1〜2日間
路面
舗装路
難易度
中級

コモ湖は逆さのY字の形をした、ヨーロッパでも有数の深い湖です。急な斜面が水際まで迫り、そのあいだのわずかな土地を色とりどりの家々や古い邸宅、庭園が埋めています。湖の3本の腕が出会う岬にあるベッラージョが、このルートの出発点です。

ベッラージョから南へ約10km登ると、マドンナ・デル・ギザッロに着きます。イタリアの自転車レースでおなじみの登りで、頂上の小さな礼拝堂はサイクリストの守護聖人を祀ることで知られています。礼拝堂から湖を見下ろす眺めも美しいです。

湖沿いの道は狭く、トンネルが多く、夏は交通量も多くなります。混雑のひどい区間は自転車を載せられるフェリーで飛ばし、水の上から眺める湖も楽しみましょう。

見どころ

  • マドンナ・デル・ギザッロ礼拝堂

    礼拝堂の中には、有名な選手たちが寄贈した自転車やジャージが飾られています。すぐ隣には自転車博物館があります。

  • ベッラージョ

    石段の路地と湖畔の遊歩道が続く村で、近くには古い邸宅や見事な庭園があります。

  • ヴァレンナとフェリー

    ベッラージョの対岸にある小さな村で、色とりどりの家々が湖岸に寄り添うように並んでいます。船での移動は短いので、1日の行程に気軽に組み込めます。

トスカーナ州 · キャンティとオルチャ渓谷、標高約250〜600m

トスカーナの白い道

距離
1日40〜70km
日程
2〜3日間
路面
砂利道(ストラーデ・ビアンケ)と舗装路
難易度
中級

フィレンツェとシエナのあいだのキャンティ、そしてシエナの南のオルチャ渓谷は、イタリアの田園風景の代表です。やわらかな丘にブドウ畑、オリーブ畑、糸杉の並木が続き、ほとんどの丘の上に石造りの村があります。オルチャ渓谷はその景観だけでユネスコ世界遺産に登録されています。

この地域の田舎道の多くは、淡い色の土と砂利でできた「白い道」ストラーデ・ビアンケです。こうした道をビンテージ自転車で走るイベント、エロイカはガイオーレ・イン・キャンティで始まりました。これらの道が自転車とどれほど深く結びついているかがわかります。太いタイヤのe-MTBなら、砂利の丘のアップダウンも楽に走れます。

丘は短く急で、しかも途切れることなく続くので、地図から想像するより登りが多くなります。村と村の間隔が近く、1日に2〜3か所に立ち寄り、広場で昼食をとり、ワイナリーを訪ねる、というゆったりしたペースに向いています。

見どころ

  • ピエンツァ

    ルネサンス期に「理想都市」として造り直された小さな町で、歴史地区はユネスコ世界遺産に登録されています。地元の羊乳チーズ、ペコリーノで知られています。

  • モンタルチーノ

    城壁に囲まれた丘の上の町で、イタリアでもっとも知られた赤ワインのひとつ、ブルネッロの産地です。

  • バーニョ・ヴィニョーニ

    中央広場が温泉水をたたえた大きな石造りの池になっている、小さな温泉村です。

  • キャンティの村々

    ガイオーレ、ラッダ、カステッリーナなどの小さな村がブドウ畑のあいだに点在しています。黒い雄鶏のマークが付いたワインが、この地域のキャンティ・クラシコです。

リグーリア州 · サヴォーナ周辺、海抜0〜約1,000m

フィナーレ・リーグレ:海を見下ろすトレイル

距離
1日20〜40km
日程
1〜3日間
路面
土のトレイルと林道
難易度
中級〜上級

フィナーレ・リーグレは、ジェノヴァの西、リグーリア海岸にある小さな町です。ビーチのすぐ背後に石灰岩の丘と森がそびえ、その丘に張りめぐらされたマウンテンバイクのトレイル網によって、ヨーロッパで人気のマウンテンバイクの目的地のひとつになっています。

トレイルの多くは岩の多い土の道で、5つの地域の中でもっとも技術を求められます。その代わり、e-MTBで林道を頂上まで登り、眼下に地中海を眺めながら森の中を走り下る楽しさは格別です。モーターのおかげで体力が残り、1日に何本も走れます。

海に近いため冬でも比較的温暖で、アルプスが雪に覆われている時期にもここでは走れます。ライドのあとはビーチで休み、城壁に囲まれた古い村で夕食をとることもできます。

見どころ

  • フィナルボルゴ

    中世の城壁が今も残る古い村です。狭い路地や広場には、レストランや自転車店が並んでいます。

  • マニエ高原

    海を見下ろす丘の上に広がる森と野原です。トレイルは比較的ゆるやかで、この地域の走りに慣れるのに向いています。

  • ポンチ渓谷のローマ橋

    かつてローマ街道が通っていた石橋が、森の谷にいくつも残っています。

  • ヴァリゴッティ

    ビーチのすぐそばに色とりどりの古い漁師の家が並ぶ小さな村です。ライドのあとにひと泳ぎするのにぴったりです。

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出発前に知っておきたいこと

ベストシーズン

5月から9月です。ドロミテの峠は雪が消える6月から9月ごろが最適です。トスカーナやリグーリアの海岸は真夏はとても暑いので、春と秋のほうが快適に走れます。

天気

北部の山岳地帯では夏の午後ににわか雨や雷雨がよく起こり、峠は真夏でも肌寒くなります。湖畔やトスカーナは夏の日中に暑くなるので、早めに出発し、日中は休みましょう。

道路と自転車

峠道や湖沿いの道はほとんどが舗装されていますが、車やオートバイが多く走っています。トレイルでの自転車のルールは地域によって異なり、自転車が通行できないハイキング道もあるので、標識のある自転車ルートを走ってください。山小屋やカフェの多くは、e-MTBの充電に快く応じてくれます。

食事

地域ごとに食べ物が違います。ドロミテではカネーデルリとスペック、コモ湖では淡水魚パーチのリゾット、トスカーナでは太い手打ちパスタのピーチとパンのスープのリボッリータ、リグーリアではフォカッチャとバジルのペストを味わってみてください。村のカフェで飲むエスプレッソは、どのライドでもよい休憩になります。

お金と通信

通貨はユーロ(EUR)です。カードはほぼどこでも使えますが、小さな山小屋や田舎の店のために現金も少し持っておきましょう。携帯電話の電波は町や幹線道路沿いでは良好ですが、山深い谷では途切れる場所があります。

入国と安全

イタリアはシェンゲン協定の加盟国です。入国の条件は国籍によって異なり、変更されることもあるので、出発前に大使館で確認してください。緊急通報番号は112です。ヘルメットは必ず着用し、トンネルや峠道では昼間でもライトを点けてください。

イタリアでは、どの道を選んでも村とカフェとおいしい食事にたどり着きます。峠を越えたあとに広場でくつろぐ時間も旅の一部です。1日に距離を詰め込みすぎず、気に入った場所でゆっくり過ごす余裕を残しておいてください。

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