巡礼の道と島の峠を走る:スペインの旅
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巡礼の道と島の峠を走る:スペインの旅

サンティアゴ近郊の海沿いの巡礼路からマヨルカ島の山岳道路まで、e-MTBで巡る5つのルート

約10分で読めます · 2026年10月31日 更新

Riders on a dirt path through dry fields · 写真:돈키호테 · used with permission 出典

スペインはイベリア半島の大部分を占めています。マドリードがある広い中央高原メセタを山脈が取り囲み、北ではピレネー山脈がフランスとの国境をなしています。北西部は雨が多く緑豊かで、内陸と南部は晴れて乾燥しています。大西洋、地中海、地中海の島々が、ひとつの国の中にまったく異なる風景をもたらしています。

スペインには根強い自転車文化もあります。毎年グランツールのブエルタ・ア・エスパーニャが開催され、週末には山道でクラブのサイクリストに出会います。千年以上歩き継がれてきた巡礼路、廃線跡に造られた自転車道ビアス・ベルデス、曲がりくねった島の道など、選択肢は豊富です。長い登りでは、e-MTBが体への負担を大きく減らしてくれます。

このガイドでは、代表的なカミーノ・コースタル・ループを中心に、初めての旅に向いた5つの地域と、それぞれの道や見どころを紹介します。

巡礼の道と島の峠を走る:スペインの旅
A quiet paved road over the hills along the Camino · 写真:돈키호테 · used with permission 出典

ガリシア · 標高約260mのサンティアゴ・デ・コンポステーラ

カミーノ・コースタル・ループ

カミーノ・コースタル・ループ
The Camino between stone walls and woods in Galicia · 写真:돈키호테 · used with permission 出典
距離
1日約60〜70km
日程
1〜3日間
路面
舗装の海岸道路と巡礼路の土の道
難易度
中級

サンティアゴ・デ・コンポステーラは、サンティアゴ巡礼路(カミーノ・デ・サンティアゴ)の終着地です。中世以来、聖ヤコブの墓があるとされる大聖堂を目指して、ヨーロッパ中から巡礼者が歩いてきました。今では自転車で到着する人も多くいます。旧市街と巡礼路はユネスコ世界遺産に登録されています。

このループはサンティアゴから西へ向かい、大西洋岸と深く入り組んだ入り江(リアス)をめぐったあと、巡礼路をたどって街へ戻ります。海側は小さな丘を越えるアップダウンが続き、内陸側は巡礼者が歩く石垣と森のあいだの小道に沿って進みます。

数日の余裕があれば、巡礼路を西へ延長した先のフィステーラ岬(フィニステレ)まで足を延ばしましょう。サンティアゴから約90kmのこの岬は、ローマ時代には地の果てと考えられ、今も多くの巡礼者がここで旅を終えます。この海岸では多くの船が難破したため、「死の海岸」を意味するコスタ・ダ・モルテと呼ばれています。

見どころ

  • サンティアゴ大聖堂とオブラドイロ広場

    長い道のりを歩き終えたばかりの巡礼者たちが広場に座り、大聖堂を見上げています。自転車で到着しても、同じような気持ちになるはずです。

  • ポンテ・マセイラ

    タンブレ川に架かる古い石橋と小さな村です。フィステーラへ向かう巡礼路の途中にあり、巡礼者がよく休憩に立ち寄ります。

  • フィステーラ岬の灯台
    写真:돈키호테 · used with permission 出典

    フィステーラ岬の灯台

    大西洋の端にある灯台で、巡礼路の0km地点を示す標石があります。夕暮れには、海に沈む夕日を見ようと多くの人が集まります。

  • プルポ・ア・フェイラ

    ガリシアを代表する料理で、ゆでたタコを薄く切り、オリーブオイル、パプリカ、塩で味付けします。地元の白ワイン、アルバリーニョとよく合います。

このエリアのコース

フランス・バスク地方からナバラへ · イバニェタ峠約1,057m

ピレネー越えの最初の峠:サン・ジャンからロンセスバリェスへ

ピレネー越えの最初の峠:サン・ジャンからロンセスバリェスへ
Horses and riders on a Pyrenean pasture · 写真:돈키호테 · used with permission 出典
距離
往復約60km
日程
日帰り
路面
舗装の峠道
難易度
上級

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーは、ピレネー山脈の北側、フランス・バスク地方にある城壁に囲まれた小さな町です。もっとも多くの巡礼者が歩く「フランス人の道」はたいていここから始まり、初日にピレネーを越えてスペインのナバラ州ロンセスバリェスへ下ります。

峠を越える道は2つあります。標高の高いナポレオン街道は急で歩行者が多く、冬は危険な状況になると閉鎖されることがあります。自転車なら、バルカルロス村を通ってイバニェタ峠を越える低いほうの道を選びましょう。標高約170mのサン・ジャンから峠までは900m近い長い登りで、ここでe-MTBの助けが大きくものをいいます。

ロンセスバリェスまで走って同じ道を戻ると約60kmです。もう1日あれば、ロンセスバリェスから森と村を抜けて、ナバラの中心都市パンプローナまで下ることもできます。

見どころ

  • サン・ジャンの城壁の町
    写真:돈키호테 · used with permission 出典

    サン・ジャンの城壁の町

    城壁の内側に石畳の路地が続き、ニーヴ川に架かる古い橋が町の景色の中心です。巡礼者が最初のスタンプを受け取る場所でもあります。

  • イバニェタ峠

    頂上には小さな礼拝堂とローランの記念碑が立っています。778年にこのあたりでシャルルマーニュの後衛部隊が待ち伏せに遭った出来事は、中世の叙事詩『ローランの歌』に語り継がれています。

  • ロンセスバリェス

    峠の下の森にある古い修道院と教会です。中世から、ピレネーを越える巡礼者を迎えてきました。

  • パンプローナのピンチョス

    パンにのせて出される小さな料理で、バルを巡りながら選んで食べます。パンプローナは7月のサン・フェルミン祭でも有名です。

このエリアのコース

カスティーリャ=ラ・マンチャ · 標高約530mのトレド

トレドとラ・マンチャの風車の丘

距離
1日30〜70km
日程
1〜2日間
路面
舗装路と川沿いの土の道
難易度
初級〜中級

トレドはマドリードの南約70kmにある、丘の上の古い都市です。タホ川が三方を囲むように流れ、丘の上にはアルカサル(城塞)と大聖堂がそびえています。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の遺産が共存する都市として知られ、旧市街全体がユネスコ世界遺産に登録されています。

おすすめは、川の対岸の丘から街を一周するライドです。途中にいくつもの展望台があり、渓谷の向こうに城壁と塔が重なり合う景色が見られます。ただし旧市街の路地は狭く急な石畳なので、そこでは自転車を降りて押して歩くほうがよいでしょう。

トレドの南には、セルバンテスの『ドン・キホーテ』の舞台となったラ・マンチャの平原が広がっています。コンスエグラなどの村では、町の上の尾根に白い風車が並んでいます。平原は平坦ですが強い向かい風がよく吹くので、そこでe-MTBが大いに役立ちます。

見どころ

  • アルカンタラ橋とサン・マルティン橋

    タホ川を渡って旧市街へ入る2つの古い石橋です。橋の上から眺める渓谷と城壁の景色は見事です。

  • トレド大聖堂

    13世紀に建設が始まった大きなゴシック様式の大聖堂です。内部には画家エル・グレコの作品が飾られています。

  • コンスエグラの風車

    古い城の隣の丘に、白い風車が一列に並んでいます。上る道は短いですが急なので、ゆっくり進みましょう。

  • マジパンとマンチェゴ

    アーモンドと砂糖で作るマジパンはトレドの定番のお菓子です。ラ・マンチャの羊乳チーズ、マンチェゴもぜひ味わってみてください。

アンダルシア州カディス県・マラガ県 · 標高約740mのロンダ

アンダルシアの廃線跡とロンダの渓谷

距離
廃線跡の道約36km+ロンダ
日程
1〜2日間
路面
締まった廃線跡の道と舗装の山道
難易度
初級〜中級

スペイン各地では、使われなくなった鉄道路線が、ビアス・ベルデス(緑の道)と呼ばれる自転車道や遊歩道に生まれ変わっています。ビア・ベルデ・デ・ラ・シエラはオルベラとプエルト・セラーノのあいだの約36kmを丘や谷を抜けて走り、トンネルと高い高架橋が次々に現れます。勾配がゆるやかなので、誰でも楽に走れます。

この地域は、丘の斜面に寄り集まった白い村(プエブロス・ブランコス)で有名です。オルベラから山道を南へ進み、岩の下に家が建つセテニル・デ・ラス・ボデガスを経てロンダへ向かいます。

ロンダは深さ約100mのタホ渓谷をまたぐように広がる町です。18世紀に渓谷に架けられたヌエボ橋が町の2つの地区を結び、橋の周りの展望台から眺める断崖の景色は、この地方を象徴する眺めです。

見どころ

  • サフラマゴンの岩山のハゲワシ

    廃線跡の道の脇にそびえる岩山で、自然保護区としてシロエリハゲワシの大きな営巣地が守られています。頭上を旋回する姿を眺めてみてください。

  • オルベラ

    丘の上に古い城と教会があり、その下に白い家々が広がる村です。廃線跡の道の一方の端にあるので、ライドの前後に訪ねてみましょう。

  • セテニル・デ・ラス・ボデガス

    川沿いの巨大な岩の下を掘り込んで家や店が造られた村です。岩の屋根の下の路地を歩く体験は、ほかでは味わえません。

  • ロンダのヌエボ橋

    渓谷の底から高くそびえる石橋です。まず橋を渡り、それから小道を下って渓谷の中から見上げると、その大きさを実感できます。

バレアレス諸島 · コル・デルス・レイス約682m

マヨルカ島のトラムンタナ山脈

距離
1日50〜100km
日程
3〜5日間
路面
舗装の山道
難易度
中級〜上級

マヨルカ島は地中海西部にあるスペインの島です。北西の海岸沿いにトラムンタナ山脈が連なり、段々畑のオリーブ園と石造りの村が織りなす景観は、ユネスコ世界遺産の文化的景観に登録されています。冬が温暖なため、春、秋、冬にサイクリストが集まり、プロチームのトレーニング拠点としても知られています。

もっとも有名な道はサ・カロブラへの下りです。1930年代に造られた道で、小さな入り江まで曲がりくねりながら下っていき、途中には道が自らの下をくぐってループする「ネクタイの結び目」があります。行き止まりの道なので、帰りは来た道を約10km登り返す必要があり、バッテリーの計画が重要です。

島の北端では、フォルメントール岬への道が断崖の上をたどって灯台まで続いています。山あいの村バルデモサ、デイア、ソーリェルをつなげば、山と海の景色が入れ替わる一日になります。

見どころ

  • サ・カロブラのつづら折り

    灰色の岩のあいだを道が蛇のようにくねりながら下っていきます。入り江に着いたら自転車を置いて、トレン・デ・パレイス渓谷の入口まで歩いてみてください。

  • フォルメントール岬

    島の北端から延びる細長い半島です。途中の展望台からは、海へまっすぐ落ち込む断崖を見下ろせます。

  • バルデモサ

    山あいの石造りの村で、作曲家ショパンがひと冬を過ごした古い修道院があります。狭い路地には花の鉢が掛けられています。

  • ソーリェルのオレンジの谷

    山に囲まれた谷をオレンジ畑が埋めています。パルマとソーリェルのあいだには、今も古い木造の列車が走っています。

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出発前に知っておきたいこと

ベストシーズン

3月から6月と9月から11月がおすすめです。7月と8月は内陸と南部がとても暑く、海岸や島はバカンス客で混み合います。マヨルカ島と南部の海岸は冬でも比較的温暖なので、一年中走れます。

天気

天気は地域によって大きく異なります。ガリシアや北部は雨が多く涼しく、メセタやアンダルシアの内陸は夏に暑く乾燥します。ピレネーなどの山岳地帯では夏でも峠は肌寒いので、上着を持っていきましょう。

道路と自転車

舗装路は状態がよく、サイクリストが多いため、ドライバーは比較的自転車に慣れています。巡礼路やビアス・ベルデスには土や砂利の区間があり、太いタイヤのe-MTBなら快適です。ヘルメットは必ず着用し、長い登りのある日は低いアシストモードから走り始めましょう。

食事

タパス、ハモン(生ハム)、トルティーヤ(ジャガイモのオムレツ)、ガスパチョ(冷たいトマトスープ)、バレンシアのパエリアが定番です。昼食は午後2時ごろ、夕食は午後9時以降になることが多く、飲食店の営業時間は思ったより遅いかもしれません。

お金と通信

通貨はユーロ(EUR)です。ほとんどの店や飲食店でカードが使えます。携帯電話の電波は町や幹線道路沿いでは良好ですが、山の谷間では途切れる場所もあります。

入国と安全

入国の条件は国籍によって異なり、変更されることもあるので、出発前に大使館で確認してください。大都市の観光地や駅ではスリに注意し、自転車から離れるときは必ず鍵をかけてください。真夏は暑さを避けて早朝に走りましょう。

スペインの道は、とても古い物語の中を通っています。巡礼者とあいさつを交わし、城壁の下で休み、遅めの夕食で一日を終える。暑さの中で急がず、地元の人のように日中はひと休みしてください。

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