雲をまとった雪山のふもと、緑の斜面に家々が上っていきます。ニュージーランドでは、町のすぐ後ろに高い山がそびえていることがよくあります。
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湖と雪山のあいだを走る、ニュージーランド

クイーンズタウンの湖畔の尾根から鉄道跡の道、オークランドの港まで、e-MTBでめぐる五つのルート

約10分で読めます · 2026年10月31日 更新

雲をまとった雪山のふもと、緑の斜面に家々が上っていきます。ニュージーランドでは、町のすぐ後ろに高い山がそびえていることがよくあります。

ニュージーランドは、北島と南島という二つの大きな島からなる国です。南島には南アルプス(サザンアルプス)が連なり、最高峰のアオラキ/マウント・クックは標高約3,724mです。氷河が削った湖、広々とした草原、海岸の森、火山の風景が一つの国に収まっています。

自転車旅行のために整えられた国でもあります。グレート・ライド(Ngā Haerenga)と呼ばれる20本以上の長距離トレイルが、鉄道の廃線跡や川、湖岸を結んでいて、途中には小さな町や宿があるので、数日に分けて走りやすくなっています。砂利道が多く、長い上り坂もあるため、e-MTBとよく合います。

このガイドでは、代表的なコースであるクイーンズタウン・スカイライン・トラバースを中心に、初めての訪問に向いた五つの地域の道と見どころを紹介します。

ターコイズ色の湖に沿って、雪山へと延びる道
ターコイズ色の湖に沿って、雪山へと延びる道

オタゴ地方 クイーンズタウン · ワカティプ湖は標高約310m

クイーンズタウン・スカイライン・トラバース

距離
約68km
日程
日帰り(約5時間)
路面
湖畔の自転車道+砂利と土の山道
難易度
上級

クイーンズタウンは、長さ約80kmのワカティプ湖のほとりにある小さな町です。湖の向こうには標高約2,300mのリマーカブルズ山脈がそびえ、町の背後のボブズ・ピーク(約790m)にはゴンドラがかかっています。冬はスキー、夏はサイクリングやハイキングを楽しみに人々が訪れます。

このルートは湖畔の自転車道で町を出たあと、湖を見下ろす砂利と土の道へ上り、湖と山を眺めながら尾根伝いに下っていきます。距離は約68km、獲得標高は合計約1,200mで、五つのルートのなかで最もハードです。短く急な上りがいくつもあるので、バッテリーの管理が大切になります。

グレート・ライドの一つであるクイーンズタウン・トレイルは、このあたり一帯の約130kmを結んでいます。湖岸、カワラウ川の渓谷、金鉱の古い町アロータウン、ギブストン・バレーのブドウ畑をつないでいるので、尾根のルートが大変そうな日には、こちらをのんびり走ることもできます。

見どころ

  • ワカティプ湖

    氷河が削ってできた細長い湖で、水がとても澄んでいます。1912年から運航している蒸気船TSSアーンスロー号が、今も湖を行き来しています。

  • カワラウ渓谷吊り橋

    1880年に架けられた橋で、商業バンジージャンプ発祥の地として知られています。トレイルがすぐ近くを通るので、立ち寄って渓谷をのぞいてみてください。

  • アロータウン

    1860年代のゴールドラッシュでできた町です。古いメインストリートと中国人鉱夫たちが暮らした集落が復元されていて、秋には木々が金色に色づきます。

  • ボブズ・ピーク展望台

    ゴンドラで上ると、クイーンズタウンの町と湖、リマーカブルズ山脈を見渡せます。頂上にはゴンドラで行けるマウンテンバイクパークもあります。

セントラル・オタゴ · ミドルマーチ~クライド、最高地点は約618m

オタゴ・セントラル・レール・トレイル

距離
約150km
日程
3~5日
路面
締め固めた砂利の鉄道跡
難易度
初級

1990年代初めにセントラル・オタゴの鉄道が廃止されたあと、その線路跡が自転車道に整備され、2000年に開通しました。東のミドルマーチから西のクライドまで約150km続き、ニュージーランドで数日がかりの自転車旅行を広めたきっかけになったと言われています。

かつて列車が走っていた道なので勾配がとても緩やかで、車も通らないため、初めてe-MTBに乗る方でも気楽に走れます。広い盆地、茶色の丘、羊の群れがトレイル沿いに続き、一日に何度か小さな町に行き当たります。

どの町にも古いホテルやパブ、カフェがあり、昼食や一泊にちょうどよい場所です。クライドかミドルマーチのどちらかから出発し、1日30~50kmずつ走る人がほとんどです。

見どころ

  • プールバーン渓谷のトンネルと高架橋

    トレイルが岩の渓谷を抜けるところに、古い鉄道トンネル二つと高い高架橋が残っています。トンネルには照明がなく、中は真っ暗です。

  • オフィール

    19世紀の建物がいくつか残る小さな村です。古い郵便局や石の塔のある古い橋があり、少し立ち寄って写真を撮る価値があります。

  • ウェダーバーンの最高地点

    トレイルで最も高い地点で、約618mを示す標識が立っています。ここからはどちらへ向かってもゆるやかな下りです。

  • 夏の果物

    暑く乾燥したセントラル・オタゴの夏は、サクランボやアプリコットの栽培に向いています。真夏には町や道沿いで果物の直売所が簡単に見つかります。

カンタベリー地方・オタゴ地方 · アオラキ/マウント・クック~オアマル

アルプス・トゥ・オーシャン、雪の峰から海へ

距離
約300km
日程
4~6日
路面
砂利のトレイル+一部舗装路
難易度
初級~中級

ニュージーランドで最も長いグレート・ライドで、南アルプスのふもとから東海岸の町オアマルまで約300km続きます。出発地点はアオラキ/マウント・クック・ビレッジとテカポ湖の二か所です。マウント・クックから出発すると川を渡るために短いヘリコプター移動が必要になるので、テカポから出発する人が多くいます。

最初の数日は、氷河湖のあいだに広がるマッケンジー盆地の草原を横切ります。プカキ湖は氷河が削った細かな岩の粉によって乳白色のターコイズ色をしていて、晴れた日には湖の奥にアオラキ/マウント・クックが姿を見せます。その後トレイルはオハウ湖やワイタキ川の発電用ダム湖のそばを通りながら、少しずつ高度を下げていきます。

最終日は石灰岩の丘と農地を抜けて海にたどり着きます。全体として出発地点からゴールに向かって下っていくトレイルなので、風に恵まれれば思ったより楽に走れます。

見どころ

  • テカポ湖と善き羊飼いの教会

    1935年に建てられた小さな石造りの教会が湖岸に建っています。一帯は星空保護区に指定されていて、晴れた夜には満天の星が広がります。

  • プカキ湖

    ターコイズ色の湖の向こうに、国内最高峰の山がそびえます。光がいちばんきれいなのは早朝か夕方近くです。

  • エレファント・ロックス

    ワイタキ・バレーの野原に、灰色の大きな石灰岩がごろごろと点在しています。岩のあいだを歩いて休憩するのにちょうどよい場所です。

  • オアマルの旧市街

    白い石灰岩でできた19世紀の建物が並ぶ港町です。夕方には、リトルブルーペンギンが海から上がって巣に戻る様子を見られます。

ベイ・オブ・プレンティ地方 · ロトルアは標高約280m

ロトルア、レッドウッドの森と地熱の大地

距離
1日 20~50km
日程
1~2日
路面
森の土のトレイル+自転車道
難易度
初級~上級(トレイルによる)

北島の中央にあるロトルアは、地面から湯気が立ちのぼり泥が泡立つ地熱地帯の町です。町なかでは硫黄の匂いがし、マオリの文化を身近に感じられる場所としてもよく知られています。

町のすぐ隣にあるファカレワレワの森は、国内で最も有名なマウンテンバイクの森の一つです。1900年代初めに植えられたカリフォルニアのレッドウッドが高く育ち、その間を初級から超上級まで多くのトレイルが網の目のように走っています。ニュージーランドではマウンテンバイクのトレイルを1(最もやさしい)から6までの等級で表しているので、自分の技術に合ったトレイルを選びやすくなっています。

森のトレイルが合わない方は、町から南の地熱地帯へ向かうグレート・ライド、テ・アラ・アヒを走ってみてください。湖岸や地熱公園を通りながら、色鮮やかな温泉が見られるワイオタプへ向かいます。

見どころ

  • レッドウッドの森

    まっすぐに伸びる巨大な幹のあいだを走るのは格別です。森の入口近くにはやさしいトレイルが多いので、初めての方も無理なく始められます。

  • テ・プイアとポフツ間欠泉

    一日に何度も熱湯の柱を噴き上げる間欠泉です。マオリの伝統的な彫刻や工芸も見られます。

  • クイラウ公園

    町の真ん中にある地熱公園です。煮えたぎる泥の池を眺め、温かい足湯で足を休めましょう。

  • ハンギ

    熱した石を使った土のかまどで肉や野菜を蒸し焼きにする、マオリの伝統料理です。文化パフォーマンスと一緒に楽しめる場所が多くあります。

オークランド · ワイテマタ湾とハウラキ湾

オークランドの海岸と火山の丘

距離
1日 30~55km
日程
日帰り
路面
舗装された海沿いの道と自転車道
難易度
初級

ニュージーランド最大の都市オークランドは、二つの湾にはさまれた細長い土地にあります。市内には約50の小さな火山が点在しているので、海沿いを走っていると、草に覆われた丸い火山丘が次々と見えてきます。

タマキ・ドライブは市街から東へ湾に沿って延び、海辺の住宅街を結んでいて、海の向こうにはランギトト島が見えます。上りが少ないので、自転車に慣れる初日にちょうどよいコースです。市内には、古い高速道路の出口ランプを利用してつくられたピンク色の自転車道、テ・アラ・イ・フィティ(ライトパス)もあります。

オークランド・ハーバーブリッジは自転車で渡ることができません。ノースショアへ行くには、自転車ごとフェリーに乗ってデボンポートへ渡ります。フェリーでワイヘキ島へ日帰りで渡り、ブドウ畑と浜辺のあいだの起伏のある道を走るのも人気です。

見どころ

  • ミッション・ベイ

    タマキ・ドライブの中ほどにある浜辺です。芝生とカフェがあって休憩にちょうどよく、海の真向かいにランギトト島が見えます。

  • ランギトト島

    約600年前にできた、オークランドで最も新しい火山です。海に浮かぶ低く裾の広い形は、海岸のどこからでもよく目立ちます。

  • マウンガファウ/マウント・イーデン

    市街の真ん中にある火山の丘で、頂上には深い火口があります。自転車をふもとに置いて歩いて上ると、街と二つの湾を見渡せます。

  • デボンポート

    フェリーで10分あまりの、海辺の古い村です。村の裏の小さな丘に上ると、街のスカイラインと湾が見えます。

出発前に知っておきたいこと

おすすめの時期

季節は北半球と逆になります。走るのに最適なのは11月から3月です。12月から2月は最も暖かい時期ですが、最も混み合う時期でもあります。3月と4月には、セントラル・オタゴの木々が秋の金色に染まります。

天気

一日に何度も天気が変わることが多いので、晴れていてもウインドブレーカーと薄手のレインジャケットを持って行きましょう。紫外線がとても強いため、曇りの日でも日焼け止めとサングラスを使ってください。南島の内陸部は夏に暑く乾燥しますが、山はその時期でも涼しいままです。

道路と自転車

グレート・ライドの多くは砂利道なので、太いタイヤのe-MTBなら快適です。車は左側通行で、自転車に乗るときのヘルメット着用は法律で義務づけられています。町と町の間が離れていることがあるので、毎日バッテリーを満充電にしてから出発してください。

食べ物

ラム肉、グリーンマッスル(ムール貝の一種)、フィッシュ・アンド・チップス、ミートパイが定番で、メレンゲのケーキ、パブロバが有名なデザートです。コーヒー文化が根づいていて、小さな町にもカフェがあります。セントラル・オタゴはピノ・ノワールの産地としても知られています。

お金と通信

通貨はニュージーランド・ドル(NZD)です。小さな町でもほとんどの場所でカードが使えます。携帯電話の電波は都市や幹線道路沿いでは良好ですが、山の中や人里離れたトレイルではつながらなくなります。

入国と安全

入国の条件は国籍や時期によって変わるので、出発前に大使館の案内を確認してください。検疫(バイオセキュリティ)が厳しく、食品や汚れた靴・道具は係官が念入りに確認するので、入国カードにはすべて正直に申告しましょう。人里離れたトレイルを走るときは、宿や同行者に予定を伝えておいてください。

ニュージーランドのトレイルは、いつも小さな町で一日が終わります。湖のほとりで休み、パブで夕食をとり、翌朝はまた新しい景色の中へ走り出しましょう。天気が変わりやすい国なので、日程には予備日を入れておいてください。

この道を走る自転車が必要なら

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